介護業界では、業務の効率化を目的にICT化やAI導入が進んでいます。介護記録や請求業務の電子化、情報共有ツールの普及などがその一例です。
こうした流れの中で「介護事務の仕事は将来的になくなってしまうのでは？」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、介護事務の仕事内容や今後の変化、そして今後も必要とされるスキルについて解説します。将来性に不安を感じている方はぜひ参考にしてください。
介護事務とはどんな仕事？その役割を再確認
介護事務は、介護サービスを提供する現場を事務面で支える重要なポジションです。以下のような業務を担っています。
事業所の規模によって担当範囲は異なりますが、いずれも業務を円滑に進めるうえで欠かせない役割です。
ICT化が進んでも介護事務がなくならない納得の理由
ICT化やAIの進歩により、一部の事務業務は効率化されていくことは確かです。
しかし、介護事務の仕事が完全になくなるとは考えにくいです！
その理由を2つ紹介します！
介護ニーズの増加で事務業務も増える
日本では高齢者人口が2040年にピークを迎えると予測されており、今後も高齢化の進行が続くことは確実視されています。これにより、介護サービスの需要も一層高まる見込みです。介護施設や在宅介護の拡大が進む中で、介護スタッフの業務を支える介護事務の役割もますます多様化・専門化しています。
特に、事業所の運営においては、介護報酬請求業務の正確性が収益に直結するため、介護事務の存在は欠かせません。さらに、地域包括ケアシステムの整備や新しい介護施策の導入によって、行政とのやりとりや法制度対応といった複雑な業務も発生しており、専門的な知識と柔軟な対応力が求められています。
人的対応が求められる業務が多い
介護事務は、利用者やご家族、または外部の関係機関とのやりとりを担う窓口としての機能も持っています。ときには急なトラブルや要望に対して臨機応変に対応する必要があり、こうした対応をAIなどがマニュアル通りに自動化するのは困難です。
また、高齢のご利用者の中には耳が遠かったり、理解力が低下していたりする方も多く、そうした方々とのやりとりには特別な配慮や傾聴の姿勢が求められます。
感情に寄り添った丁寧な対応は、人間にしかできない業務のひとつであり、今後も介護現場における事務職の価値を高める要素となるはずです！！
これからの介護事務に求められるスキル
ICT化が進む中で、介護事務として働き続けるにはどのような力が求められるのでしょうか。単に事務作業をこなすだけではなく、今後はより柔軟かつ多様なスキルが求められる時代になっています。
1. 基本的なITリテラシー
国保連への請求は電子化が進んでおり、PC操作や介護ソフトの扱いが必須です。ファイル共有やデータ入力などの作業にも対応できる基本的なITスキルは、これからの介護事務に欠かせません。
加えて、クラウドシステムの操作や、スマートフォン・タブレット端末の使用に慣れておくことも重要です。オンライン会議や情報共有ツール（たとえばチャットアプリやクラウドストレージ）を使いこなす場面も今後増えていくでしょう。デジタルツールに対して前向きな姿勢がある方は、職場内でも信頼を集めやすくなります。
2. 介護保険制度の知識
3年ごとに改正される介護報酬制度など、制度の理解と変化への対応力が必要です。ソフトの進化で一部自動化されても、基礎的な知識を持つことで業務への理解が深まります。
また、実務では要介護認定やサービス計画に関する理解も求められることがあります。保険制度だけでなく、介護全体の流れを把握しておくことで、より円滑な業務遂行が可能になります。制度改正のたびにアップデートを怠らない姿勢も大切です。
3. コミュニケーションスキル
利用者や家族、職員とのやりとりが日常的に発生します。介護スタッフとのチームワークを支える役割としても、対人対応力は重要です。
特に、クレーム対応や困りごとの相談を受ける際には、感情に寄り添いながら話を聴くスキルや、わかりやすく説明する力が求められます。
職場内外を問わず、信頼される存在になるためには、丁寧で落ち着いた対応が大きな武器になります！
4. 学び続ける姿勢
ICTの進化や制度改正など、介護業界は変化のスピードが速い分野です。新しい知識やツールに前向きに取り組む姿勢は、今後ますます重視されるでしょう。
たとえば、セミナーや研修会への参加、eラーニングの受講など、自己投資としての学習が評価されるケースも増えています。現場での経験だけでなく、自主的に情報をキャッチアップする習慣がある人材は、どの事業所からも歓迎される傾向にあります。
介護事務の未来は、変化に適応できるかが鍵
介護事務の仕事がAIに奪われてしまうのではと不安を感じる気持ちは自然です…
しかし、完全に置き換えられる仕事ではありません！
事務作業の効率化は進んでいきますが、人間ならではの柔軟な対応や対人スキルは今後も必要とされます。介護事務として働く上では、ITスキルや学び続ける姿勢を持ち、変化に対応していくことが重要です。
今後も介護事務は、介護現場を支える大切な存在であり続けるでしょう。