介護事務の仕事に興味があるけれど、「どんな知識が必要なの?」と不安を感じていませんか? 「事務職の経験がない」「介護業界の仕組みがよくわからない」という理由で、一歩を踏み出せずにいる方も少なくありません。

しかし、介護事務の仕事は専門的な内容もありますが、基本を押さえていけば少しずつ理解を深めていける仕事です!
実際に多くの方が働きながら知識を身につけており、特別な資格がなくても始められる点が魅力でもあります。
この記事では、介護事務として働くうえで最低限知っておきたい知識やスキル、仕事内容のポイントについて、初心者にもわかりやすく丁寧にご紹介していきます。
介護事務の仕事内容を知っておこう
まずは、介護事務がどんな仕事をしているのかを理解することが大切です。介護事務の業務は多岐にわたり、事務処理能力だけでなく、コミュニケーション力や正確さも求められます。ここでは代表的な仕事内容について詳しく見ていきましょう。
介護保険請求業務(レセプト)
介護事務の中心業務は、介護保険制度に基づいた「介護報酬請求」です。 これは、提供した介護サービスに対して国保連へ報酬を請求する手続きであり、毎月決まった締め日に間に合うように、サービス利用者の実績を正確にまとめて提出する必要があります。
請求内容にミスがあると返戻(へんれい)され、再提出が必要になるため、ミスを防ぐ注意力と制度理解が欠かせません。また、専用ソフトの使用に慣れておくことも重要です。
利用者や家族への窓口対応
電話応対や来客対応では、利用者さんやそのご家族と直接やり取りをすることがあります。 とくに新規の利用相談や見学の申し込み、契約書類の説明などでは、介護サービスの概要をわかりやすく説明する力が求められます。
事務職であっても「顔の見える存在」として接遇スキルが大切であり、相手の立場に寄り添う対応が信頼につながります。
書類作成・管理
介護サービス提供に必要な契約書や重要事項説明書、利用者台帳などを作成し、適切に管理する業務も重要です。 これらの書類は法的に保存が義務づけられており、情報の取り扱いには個人情報保護の意識も求められます。
また、日々の業務報告書や職員の勤怠データを集計することもあり、事業所全体の運営を支える役割も担っています。
介護事務に必要な知識とは

では実際に、介護事務を目指す際に身につけておくべき知識を見ていきましょう。
介護保険制度の基礎知識
介護事務の業務はすべて介護保険制度に基づいて動いています。「要介護認定とは何か?」「保険者と被保険者の違い」「介護サービスの種類や給付内容」など、基本的な仕組みを理解しておくことが第一歩です。
さらに、保険証の更新時期や自己負担割合、負担限度額なども業務に関わってくるため、制度全体の流れを把握しておくと実務に役立ちます。
サービスコードと算定ルール
請求業務では「サービスコード」と呼ばれる数字を使って、各サービスの報酬を算出します。 ただし、これらのコードを一つひとつ覚える必要はありません。通常は介護ソフトを使用して入力するため、基本的な仕組みを理解しておけば大丈夫です。
たとえば、訪問介護の身体介護や生活援助など、サービスごとに加算や条件が異なりますが、ソフトが自動的に計算してくれることがほとんどです。 とはいえ、業務に慣れてくると、どのサービスにどのような加算がつくかの感覚が自然と身についてきます。
まずは、「どのサービスにどんなルールがあるか」といった大まかな流れをつかむことから始めましょう。
パソコンスキル
介護事務では、WordやExcelを使った書類作成や集計作業が日常的にあります。
特にExcelでは、表の作成や関数の活用(SUM、AVERAGE、IF、VLOOKUPなど)によって、作業の効率が大きく変わります。 また、レセプトソフトと併用して集計や確認を行う場面もあるため、パソコンスキルは業務の基本といえます。
タイピングのスピードやファイル管理のルールも、仕事をスムーズに進めるうえで欠かせません。
敬語や接遇マナー
事務職とはいえ、外部の方や利用者家族との対応は欠かせません。電話応対、来客対応、メールでのやり取りなど、さまざまな場面で丁寧な言葉遣いが求められます。
特に、ご利用者や家族に対しては安心感を与える対応が大切です。 言葉遣いや身だしなみといった基本的なビジネスマナーを身につけておくことで、信頼関係の構築にもつながります。
また、事業所内でも他職種との連携が多いため、円滑なコミュニケーションを心がけることが重要です。
未経験でも安心!働きながら覚えていける
介護事務は未経験からスタートする人も多く、実際の職場で実務をこなしながら知識を身につけていくケースがほとんどです。現場での経験を通じて少しずつ業務を理解していくことができるため、事前にすべての知識を覚えておく必要はありません。

日々の業務を重ねるなかで自然とスキルが身につき、働きながら学べる環境が整っているのが介護事務の魅力です。
入社後のOJTで実践的に学べる
多くの事業所では、先輩職員からのOJT(実務を通じた研修)があります。 OJTでは、最初に事業所のルールや介護保険制度の基本的な流れを学びながら、実際の業務に少しずつ慣れていくスタイルが一般的です。
初めのうちは、簡単な入力業務や電話応対、書類整理などから始まり、慣れてきたらレセプト作成や加算のチェックといった業務にステップアップしていけるでしょう。
分からないことがあればその場で質問しやすい環境が整っていることが多く、実務を通じて理解を深めていけるのが大きなメリットです。
小規模事業所より大規模法人が安心なことも
未経験者の場合は、教育体制がしっかりしている大規模法人のほうが安心して働き始められる傾向にあります。 大規模法人ではマニュアルや定期研修が整備されていることが多く、分業制が導入されているため、一人に過度な負担がかかりにくい点も魅力です。
一方で、小規模な事業所では即戦力が求められることもあり、入社直後から多くの業務を任されるケースもあります。 そのため、初めて介護事務の仕事にチャレンジする場合は、なるべく研修体制のある職場や、サポートの手厚い環境を選ぶのが安心です。
学びの準備は必要?介護事務に役立つ講座の活用法
介護事務に絶対必要な国家資格はありませんが、業務に役立つ知識を身につけられる講座を受講しておくと、就職活動や実務において安心感につながります。
とくに介護保険制度や請求の流れ、必要な帳票の取り扱いなど、仕事を始める前に概要を把握しておけると、入社後の理解が早まります。
これらの講座では、介護保険制度の基本的な仕組みや請求業務の流れ、レセプト作成の基礎などが学べる内容が多く、短期間で基礎を身につけることが可能です。
また、講座によってはオンラインで学べるものや、eラーニング形式で自分のペースで進められるものもあるため、仕事や家庭との両立を目指す方にも取り入れやすい点が魅力です。
必ずしも受講が必要なわけではありませんが、「少しでも予備知識をつけておきたい」「未経験なので不安がある」という方には、こうした学習機会が大きな支えになるでしょう。
まずは興味を持つことから始めてみよう
介護事務に必要な知識は、最初からすべて完璧に覚えている必要はありません。 制度や算定のルールなどは専門的な部分もありますが、働きながら確実に身についていきます。
「人と接するのが好き」「事務職として安定して働きたい」 そんな気持ちがあれば、介護事務の仕事はあなたにぴったりかもしれません。 興味を持った今が一歩踏み出すチャンスです!